【巻藁(まきわら)練習】「羽なし巻藁矢」で体感する!上達の土台となる基本原理と重要性

弓道の「巻藁(まきわら)」練習の目的と、矢を真っ直ぐ飛ばすために重要な「角見(つのみ)」と「小指の締め」という基本原理を解説した記事のアイキャッチ画像。


素引き、ゴム弓での練習を終えた皆さん、おめでとうございます。いよいよ矢をつがえ、巻藁に向かって初めて矢を放つ、弓道の中で最もモチベーションが上がる瞬間がやってきました。

この巻藁練習は、単なる通過点ではありません。中級者、上級者になっても「射形矯正」「試合前のウォーミングアップ」「基本の再確認」など、生涯を通じて欠かせない最も重要な練習方法です。指導者によっては、巻藁練習に重きを置く人もいるほどです。

ここでは、素引き練習で習得した足踏みや弓構えを土台として、「矢を放つ」ことで初めて体感できる弓道の基本原理に焦点を当てて解説します。

巻藁練習で使用する「巻藁矢」の特性

巻藁練習では、的に向かって矢を射る時とは違い、特別な「巻藁矢(まきわらや)」を使用します。

巻藁矢とは?:羽がない理由

巻藁矢には、基本的に的を狙うための羽根(矢羽)がありません。

これは、巻藁練習の目的が「的中」ではなく、「矢を真っ直ぐ飛ばすための射形(フォーム)」のチェックに集中することにあるからです。羽がないことで、馬手(めて)や手の内(ゆのうち)に僅かでもブレがあると、矢の飛び方が大きく乱れます。つまり、射形の良し悪しが矢の挙動として正直に現れる、シビアなチェックツールなのです。

巻藁練習で初めて行う一連の動作

矢をつがえる(矢つがえ動作)

矢をつがえる動作は、一連の動作の中で最も丁寧に行うべき工程の一つです。筈(はず)の向きを正しく合わせ、弦にしっかり固定します。このとき、本番の矢であれば矢羽が上を向くよう調整しますが、巻藁矢でも本番を意識して丁寧に行いましょう。

初めての「取り懸け」(ゆがけに弦をかける)

巻藁練習では、初めて「ゆがけ(弽)」の親指の腹に弦をかける「取り懸け」を行います。この動作は、馬手(めて)の操作全てを決定づけるスタート地点です。

  • 弦をかける深さ: 浅すぎると離れの際に外れやすく、深すぎると離れがもたつきます。指導者に教わった適切な位置を確認してください。
  • 馬手の角度: 取り懸けの際の馬手(右手)の角度や手首の形が、そのまま会(かい)での「詰め」に直結します。リラックスした状態で、正しい形を意識しましょう。

初めて矢を放つ瞬間:怖さを乗り越える

ゴム弓や素引きとは違い、実際に矢を放つ衝撃はかなりのものです。「怖い」と感じるのは自然なことです。まずは、力を抜いてその衝撃に体を慣らすことを最初の目標にしましょう。

頬づけと胸弦(むなづる):毎回同じ位置を確認

安定した射形の再現性のため、以下の2点は必ず毎回同じ位置を確認してください。

  • 頬づけ: 矢が頬の同じ場所に触れているか。人によってベストな位置は異なりますが、毎回同じ場所でなければなりません。
  • 胸弦(むなづる): 弦が胸元を軽くかすめる位置を通るか。これが安定しないと、矢筋も安定しません。

矢の直進性を生み出す二大原理

巻藁練習で最も体感すべきは、矢を真っ直ぐ飛ばすための手の内と馬手の連動です。

手の内の「小指・薬指の締め」が全てを決める

手の内の小指と薬指を適切に締めることは、単に弓を握るための動作ではありません。この締めが緩むと、弓が手の中でグラつき、弓道の最重要原理である角見(つのみ)が機能しなくなります。

さらに、この小指の締めは、離れ後の弓の働き、特に弦の通り道(胸弦)に決定的な影響を与えます。

離れ後の「胸弦」と小指の連動

小指の締めが緩むと、離れの瞬間に弓が暴れて弦の通り道が乱れ、結果として胸弦が体から大きく離れてしまう(=胸弦が適切につかない)ことになります。

胸弦が体につく(かすめる)のは、小指の適切な締めにより弓が正しい方向に回転し、弦が正確な軌道を通った結果として現れる現象なのです。

手の内の「角見(つのみ)」の働きを体で覚える

矢が発射される瞬間に、弓が反転しようとする力を、親指の付け根(角見)で受け止めるのが「角見の働き」です。この働きこそが、矢を真っ直ぐ押し出す推進力となります。

この角見の働きは、小指・薬指の締めに依存していることを、巻藁練習で強く意識してください。

馬手をひねって矢を抑えるという基本原理の初体験

素引きでは体験できなかった、実際に矢を番えた状態での馬手の「ひねり」も体感します。弓を引く力と、馬手で矢を安定させる力が合わさる感覚を掴みましょう。

特に、馬手をひねって矢を抑えた後は、**そのひねりを緩めないよう、手の甲が上を向いている状態を会(かい)まで意識して維持**しましょう。これが馬手側で矢の暴れを防ぐ重要なポイントです。

「鋭い離れ」の体感と、残身のチェック

鋭い離れを出すための意識

離れは「力ずくで出す」ものではなく、「伸び合いの限界で自然に生まれる」ものです。会(かい)に入った後、さらに体全体で伸び続けた結果、弦が指から弾き飛ばされる「鋭い離れ」を追求しましょう。

離れの後の「残身(ざんしん)」のチェック

矢が放たれた後も、射形の崩れや体のブレがないかを確認します。衝撃後も「伸び合った形」を維持できているか、弓手が標的方向に残っているかを意識しましょう。

まとめ:巻藁は生涯の基本

巻藁練習は、的中を求める「近的(きんてき)」に進むための土台を固める段階です。ここで学んだ「小指の締め」「角見の働き」「胸弦の連動」といった基本原理の体感は、あなたの弓道人生を通じて常に立ち戻るべき基準となります。

この練習で得た確かな基礎をもとに、次のステップに進みましょう。

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